「地域における居場所づくり再考・久留米市の事例
―地域福祉や社会教育へと拡がっていく市民活動」

はじめに
九州地区の社会教育学会では、6月集会として、テーマにかかげた趣旨で、地域における居場所づくりについて深めた。その事例分析を福岡県久留米市の市民活動サポートセンターの活動の報告に求め、議論がなされました。報告は、市民活動サポートセンター「みんくる」の組織と活動、それを支える久留米市の行政支援、具体的な地域福祉活動としてのひとり親世帯の一般社団法人UMAUの活動報告でした。
はじめに、久留米とはどういうところか。なぜ現代の久留米で居場所づくりを地域につくらねばならないのか。町村合併で横長の市町村で、人口は約30万人。地域の人びとの繋がり減って、貧困化する状況で、孤立と助け合いがなく、暮らしのコミュニティの危機があるということです。
また、自治体としてのまとまりは合併したことによって、容易ではない。しかし、新たな注目する動きがあることも注目するところです。貧困化も進んでいるということで、市民が自主的に社団法人をつくってひとり親世帯を自分たち自身の血縁のない大家族づくりの協働する力で、自主的に市民自身で支えていこうとする動きがあることです。
それが、なぜ生まれのかという問題意識が、未来への地域の暮らしの支えにとって大切ということからです。この困難な生活のなかでの新たな地域の暮らしを支え合う居場所づくりに学びが大きくあるということです。どうして、その学びが新たな動きのなかで生まれたのか。深めて行く課題があるのです。
つまり、貧困者自身の市民活動の居場所づくりと、それがひろがっていく学びということが大きなテーマにもなっていくのです。ひとり親世帯などの貧困者自身が、自らが市民活動を積極的に行って、思いや考えを伝えあい、裏の暮らしも表にだせる踏み込みの学びをしているのです。そのことによって、貧困状況での大変さを少しでも仲間の絆をもっての力で改善していこうとするとりくみの報告から社会教育研究として何を学んでいくのかということです。
久留米市の中心部は、伝統的にまとまりがよく、深い歴史文化があったところです。古墳が600もあるということで、古墳の街と言われるように、古くからの継続して栄えた地域です。吉野ヶ里の環濠集落遺跡とも近く、卑弥呼の墓の説もあるのです。高良山は、信仰の地として、高良大社や卑弥呼墓説の祇園古墳・神籠石などがあります゜また、古墳時代の磐井の乱の激戦地であったところです。ここに、久留米市民のアイデンティアがあり、神輿かつぎも盛大な祭りになるのです。
また、久留米絣やくるめつつじなどの特産物をつくりだしていく地域性もあります。久留米絣の創始者・井上伝と「東芝」の創業者・田中久重の意外な繋がりがあります。田中久重は久留米市出身の発明家で、からくり人形や和時計などを開発した人物です。
1813年、当時26歳だった井上伝は、織り手として名を馳せ、多くの弟子を指導した。新技術の開発にも意欲的に取り組んでいましたが、動植物や風景などを布に織り込む“絵絣”に挑戦していました。試行錯誤を繰り返すもうまくいかなかった。その状況を打開するために白羽の矢が立ったのが、田中久重だったのです。久留米はタイヤの街としても栄えたのです。世界のブリジストンタイヤも生んだのも久留米です。
このような歴史と文化をもってきた久留米ですが、新自由主義とグローバル経済のもとで、格差社会も進み、貧困化問題も顕在化し、人びとの伝統的な地域のまとまりも崩れていくのです。新たに、意識的に地域での絆づくりをしていかねば暮らしを支えていくことが困難な状況が生まれてきているのです。地域福祉という視野からの地域の居場所づくりが新たな課題となっていくのです。市民が主体となっての活動センターとしての「みんくる」という組織が行政の指定管理という方式でたちあがっていくのです。
本稿を書くにあたって、久留米の地域福祉マガジン【グッチョ】の記事に報告者の活動がのっていますので、それをも参考にしていきます。
「みんくる」のI・WE・PUBLICの実践
センター長 おきなまさと
センター長をしているおきなまさとさんは、中華料理屋をしていた人です。地域福祉や社会教育に関心をもっていたわけではないということでした。もともと、久留米の商店街は、売ることだけではなく、地域の暮らしに深くかかわり、祭りなども積極的に盛り上げていたということでした。
おきなさん自身、その地域活動の弱まりが意識されたのです。自分の商売には熱心にやってきましたが、地域のまとまっていく活力がなければ、地域の商店街や地元の古くからの産業も廃れていくということの危機意志をもったということです。このことから、NOPや地域の中小企業をまとめていくことが必要ということでした。これが、くるめ協働CASE PJの組織で、「みんくる」の基盤です。それは、個人事業者の集まりで、行政からの補助金をあてにする目的での結成ではないということです。
現在ある「みんくる」の施設は、市の行政機関がつくったものです。それは、市民活動・NPO・地域コミュニティ・ソーシャルビジネスによる「協働のまちづくり」のために、2005年に誕生した施設です。現在は、公設民営のサポートセンターです。この施設は、多様な協働のカタチを活かしながら、社会的な課題解決に取り組む「非営利公益活動」の拠点になってきました。
2019年度より久留米市市民活動サポートセンター「みんくる」の管理・運営は、指定管理者になったのです。久留米ガス株式会社とくるめ協働CASE PJ 共同体( 任意団体くるめ協働CASE PJ の 共同事業体での指定管理です。くるめ協働CASE PJからおきなまさとが「みんくる」のセンター長として出ているのです。
くるめ協働CASE PJは、市民活動の「交流の場」創り、新たな市民活動の形成及びネットワーク促進として、平成28年6月に発足した団体ですが、久留米市全体の市民活動支援センターの担い手になっていくのです。
「みんくる」は、各種講座の開催、会議室・セミナー室や作業室などの貸し出し、市民活動の相談活動の相談、展示コーナーの設置による団体活動の紹介、久留米市の市民活動の情報誌の作成などを行っています。
各種の講座は、「NPOやボランティア団体などの市民活動団体対象の講座」や「これからボランティアを始めたい人向けの講座」です。
「みんくる」は、市民参加の久留米市の次期環境基本計画を策定するにあたり、環境政策課の実施の「子どもから大人まで広く市民の意見を聴き、その意見を計画に反映させるために、ワークショップ開催」を積極的に広報しています。ワークショップでは、体験型アクティビティを通して環境について学んだり、身近な環境について意見交換を行ったりします。「久留米の自然や生き物が大好き」「地球温暖化が気になる」などです。
久留米のNPOなどの市民活動のセンターの基盤となっている指定管理を久留米市から受けた「くるめ協働CASE PJ」は、商店街や小企業者の集まりということら、地域の人びとの暮らしの経済に密着した団体です。その団体に、久留米ガスが積極的に協力していくことによって、市民活動センターの基盤ができているのです。このセンターの活動は、市民活動を推進していくための学び役割を果たして、様々な市民活動団体のつなぎの役割を果たして、行政とのパイプをもって、市民活動の相談にのっているものです。そして、地域福祉行政や環境基本計画などの市民参加による行政施策にも大いに意味をもっているのです。
久留米の市民活動支援センターの施設の管理運営に地域の暮らしの経済を支える団体と久留米ガスという民間が、地域の暮らしのエネルギー供給会社と共同で指定管理団体になっていることです。つまり、地域の暮らしの経済を支えている組織が支えているということで、いわゆる地域ボランティア団体などのNPOの市民活動を支えている団体が、指定管理団体になっていないことです。
おきなまさとさんが提供する暮らしを支え会う地域の居場所づくりにおいて、IとWEとPABLICの発展関係をあらためて考えさせられた。知らないという次元から意識をもって知ることが、市民活動に参加していること、活動の関わりの日常化、自分自身で、小さくてもいいからはじめていくという、私たちという地域の居場所によって助け合いを主体的に自分自身で、はじめていくという。
さらに、次の段階へと公共性の道に入っていくというのです。大切なことは、自ら自立しながらの地域の無縁社会や貧困の暮らしを支え合いによって克服していくことと独自の公共性の道にかかわり合っていぅことだと思いました。
公共性の道には、国家や市町村行政の独自の役割があることを見落としてならない。市民活動の支え合いだけでは、決して深刻する貧困問題、全国的に多発する子どもの虐待やひとり親世帯のかかえる経済的貧困などの問題を克服することができないのです。
叶え合う支援に何を期待しているのか
久留米市役所子ども未来部総務 秋山フトシ
秋山さんは子ども未来部の行政に属する人です。役場職員として、社会福祉法改正の厚生労働省が進める地域福祉施策の重層的支援体制整備事業を担っている人です。(社会福祉改正による重層的支援体制整備事業については、本論の最後に資料としてのせています)。
報告は、1. 重層事業とまちづくり、2. 転換点となった「重なり方デザイン事業」、3. 叶え合う支援は何を変るか、という三つの柱のはなしでした。
「久留米市の支援事業は、地域包括支援センター・子育てサポートセンター・生活自立センターなど、相談して適切な支援機関につなぐ包括的相談支援事業と、従来の地域福祉課、青少年育成課など支援機関、社会福祉協議会などの多機関協同事業、インフォーマルな地域の居場所としての参加支援があります。ここには、資金活動団体や地域の企業、社会福祉協議会に属する地域の生活支援コーディネーターの活動があります」。
ここで注目することは縦割りで、それも専門化・細分している行政の活動を、いかにつなぎ、そして、市民との包括的な相談にのっていくかということです。市民の様々な相談は、具体的に細分化した行政のセクションに対応するわけではありません。
それは、複数にまたがっているのです。細分化すれば、するほど多くのセクションとの関係をもっていくのです。いわゆる行政相談のたらいまわしが、市民側の相談の気持ちからよく起きるのです。
ここで、報告者の秋山氏は、「暮らしのなかで、どうやって地域につながっていくのか。行政がやっていく系統的な事業のフォーマルなことだけではなく、地域のなかでのインフォーマルの活動が大切です」とのべるのです。市民活動のインフーマルの組織が大きく期待されていくというのです。
この秋山さんの指摘は、行政職員、市町村行政、国家が、本質に市民の暮らしを守り、充実させて、楽しく地域で生きていけるために本質的に見方を変えていくことできわめて大切だと思います。また、市民自身の絆をつくって、孤立化している貧困層の人びとを支えあっていくことでインフォーマルの活動も大きな役割を果たしていくのです。
「それぞれの役割や対応できる部分、⽀援の違いなどを理解・認め合い、それぞれの強みを活かしていくことということです」と。さらに、市民側にも制度のとらえ直しが必要ということを行政職員の立場から次のようにのべるのです。
「ここでは地域の人びとの暮らしや制度のとらえ直しが必要だということです。従来の行政の人たちの制度に縛られたなかでの概念では硬く、福祉や支援の概念を拡げていくことが求められているというのです」。
そして、市民として、行政職員として、行政に対する考えの見直し、自分自身の置かれた状況に対する「知識よりも意識の変革、解決よりも願いの根本を考え、深めて行く」というとらえ方が重要になってくのです。
それは、地域の支え合いや住民同士の関わり合いの体制をつくっていくということだというのです。これが、叶え合う支援ということで、課題解決だけではなく、願いを叶え合える意識を尊重し、支援する、されるという関係ではないのです。
本人の意思を中心に、支援は困った人のアプローチではなく、人の手が必要な時に協力する、協力し合うことであるとするのです。そして、それは、本人と支援者の間ではなく、より多くの人間に起こるものとしてとらえていくということが大切ということでした。
秋山氏は、支援での事業設計の視点で、既存制度やサービスが、本人の力を奪っていないかと問い直ししていくことが、関係者にとって不可欠ということです。
つまり、本人の自立を第一に考えていくことを基盤にしていくことであるとのべ、専門職も地域も行政も、サービス利用者も、共に久留米を創る存在だという意識改革を伴っていなければならないとするのです。
久留米という地域の豊かな生きがいの場にしていくための支え会う居場所づくりなのです。久留米の未来を積極的に個々が自立して豊かに生きられるような支え合いの居場所で、久留米を創造するということをみつめていくことでもあるのです。久留米の資源は、なにか。久留米のもっている人間力は、なにか。地域のなかでみつめていく支え会う居場所づくりということになるのです。
また、非常に大切だが、難しいになるのであるが、普段はあまりに人に出せない・出したくない暮らしの裏側を出せるような環境・関係ができるように努力していくことなど、人と人の関係性をあと一歩ふみ込むという感覚の共有をひろげていくということだというのです。
久留米市で「叶え合う支援」という理念は、困りごとを抱えた人もそうでない人も、暮らしの中で人と人とが関わり合うという街を目指すためです。それは、制度だけに頼らないことです。病気を抱える、障害がある、生活が苦しい、
人間関係が保てない、仕事が続かない。暮らしの中で困り事を抱えることは誰にもあります。その時に相談に乗ったり解決に向けたサポートを行ったりする機関や窓口はいくつもあります。
しかし、その対象に当てはまらなかったら。制度には必ず支援の狭間が生じます。この制度の支援の狭間に、秋山氏は人と人の関わり合いの街から暮らしのなかで困っている人に言えない問題に、制度だけに頼れないという「叶え合う支援」の理念があるというのです。
つまり、秋山氏は、「制度・サービス」と「住民の関わり合い」が2車線道路のように整備されれば、対応できることの幅が広がり、いろんな人の主体性が生まれるのではないかと考えているのです。
さまざまな分野で地域の居場所づくりや支え合いの仕組みがありますが、その力を誰かの暮らしや困りごとに生かすためには、「接着役」が欠かせません。その接着剤の事業を受託しているのは久留米AU-formal(アウフォーマル)実行委員会です。
ある活動団体が「私たちの活動は福祉活動ではないのですが、関わることができますか」と。どのような活動であれか、誰かの「居場所」だったり「活躍の場」になったりする大切な力なのです。あらゆる人、あらゆる団体、あらゆる企業。それぞれの特徴を重ね合わせて、「暮らしと暮らしが重なり、関わり合う」街になれば、久留米らしい地域共生社会に近づけるのではないか。
秋山氏は、以上のように、地域の居場所づくりという叶え合う場、暮らしの困りごとを解決していく接着剤になっていく街づくりを期待しているのです。
国が進めている社会福祉法改正による地域福祉施策、重層的支援体制事業施策のなかで、久留米らしい特徴のある事業や活動が何であるのか。知りたいところです。
また、地域福祉施策の市民参加の地域支え合い活動で、学びが大きくありますが、市行政の生涯学習や社会教育と、どのように関わっていく可能性があるのか。その関わりの困難性は、どこにあるのか、知りたいところです。
血縁なき大家族が暮らし合う居場所
一般社団法人UMAU 代表 中村路子
中村路子さんは、血縁のない大家族ということで、様々なひとり親世帯の貧困親子を救うために、支え合う居場所づくりの活動をしている報告でした。
ひとり親世帯のからなる市民団体の一般社団法人UMAU(うまう)を責任者として、運営しています。UMAUは、貧困の根本原因を追究して、解消することをかかげ、地域で支え合う子育てを実現するために、ひとり親ということから7人の親へということで、それぞれの役割を発揮して支え合いの活動をしています。
これは、ひとり親世帯は、孤立しがちで、貧困世帯も多く、それらを克服するための7人の血縁なき大家族という活動の基本的な考え方です。現在(2025年6月)ひとり親380世帯が加入して、「じじっか」族の共同体として、支え合いの活動をしています。
特別の運営スタッフは、30名です。活動の範囲は、久留米と大牟田の地域です。そして、ひとり親世帯の支え合いのなかで、子どもたちが健全に育つように、遊びの空間や発達の保障の気配りをしながらの条件整備や学びの場をつくってやっているのです。そして、子どもたちが夢や希望を大きくふくらませようと、自分流計画を中学3年からつくれるように積極的な将来への進路の援助もしているのです。
貧困のなかで、孤立しがちなことを日常生活からなくしていくために、暮らしを少しでも自助努力でゆとりをもたせるために、血縁なき大家族を機能させているのです。家ごとに行っている食事の用意や塾や習いごと送り迎えなどを大家族の「じじっか」ごとに同士で行うしくみをつくっています。
さらに、使わなくなった衣類や食材をシェアしています。シェアするときも箱のなかに衣類を入れて、そこからとっていくということではなく、きちんと棚にかざって、買い物するように置き場を設けて、メートル交換ということで、それぞれの品物の価値を共有し、楽しみながらの工夫をしています。
これは、いらなくなったものをあげるということではなく、大切なものを交換するという物を粗末にしない意識改革にとっても大切なことということからだというのです。
貧困とは、どうしようもない困りごと、学校に行けない子どもたち、家で暴れる手が付けられない母親など深刻な状況があるのです。中村さんはのべるのです。「めちゃくちゃ深刻な場面に出くわしますよ。『今から手首を切る!』って電話があって駆け付けたこともあるし、『子どもが暴れて手が付けられない』というので急いで家に行き、ドアを開けたら血まみれの母親と鉢合わせたこともあります。暮らしの裏側に踏み込んでいるから、たった一食のご飯で、助かっている命がたくさんあることを実感できました」。
このような家族内ではどうにもならない現状が、現代の日本では数多くあるのです。子どもの虐待は児童相談所の統計によると全国で、20万以上を越えるのです。その相談の経過は、数多いのが警察を通じてです。血縁者や地域から、学校からも少ないのです。
「貧困の根本には孤立があります。周りから見ても何が原因なのか、何が事実なのか分からないくらい悪循環に陥っている。解決策なんか簡単に見つかりません。そこから抜け出すには『暮らしを細かく分けて、一つ一つを誰かと認識を共にする』ことからかな。だから一緒に生きていく存在が必要です」。
本来的には、地域の支え合いのなかから民政委員・児童委員や学校からの相談が、契機になっていくべきだと思います。さまざまな貧困のなかで、孤立化しているのが現状なのです。貧困の危機的な状況は、本来的に人間がもっている絆や社会性、生きる意欲が失われて、精神的な非人間な状況に追い込まれていくのです。
「じじっか」族の一人から、今晩子どもに食べさせるものが何も無いと連絡があって、すぐに届けました。その時はお金が無くて本当に苦しいと想像できるが、数日前には高級パンを食べたりしているのです。貧困の背景にはもちろん手放しで同情できないこともあります。でも、誰だっておいしい物は食べたい。生活に困っているのに、ということで、遠慮しなければならないことはないはず」。
血縁ない大家族の一員になるために、きちんとした自覚をもたせていくために、模擬的なひとつの儀式としての婚姻届けをしていることは注目するところです。つまり、血縁の無い大家族「じじっか」族になるには、家族としての婚姻届け「ファミ婚届け」を提出します。そして、「じじっか」族は全員が何らかの役割を担えるようにするのです。
その役割任務とは、遊びに来て、子どもたちの遊び相手や世話をするのも役割ということです。月1回配達や片付けなどを手伝う人もいれば、運営スポンサーとして寄付金を出す人など、それぞれに運営を支えていきます。
会員それぞれの「得意」を生かし、服や装飾品の制作・販売や講座の開講をしていますまた、事務作業を請け負って、「月に数万円」の追加収入を得ることもあります。「暮らしの中に数多くある『作業』を細かく分けてシェアすることで、暮らしが好転する契機をつくっていくというのです。
家族としての一員であることを日常的に自覚させていくために、あいさつも重視しているのです。あいさつには独自のルールが生まれます。来た時には「おかえり」と迎え、自宅に帰る時は「いってらっしゃい」と送り出すというのです。当たり前の日常生活での心の通い合いを習慣づけていくのです。
貧困になることによって、自分の思いや考えを伝えようとしなくことです。精神的にも孤立していくことは、人間関係をもたない無縁社会状況をつくっていくおとです。貧困を克服していくには、貧しさを人にはなせる自覚だというのです。
裏の暮らしを表にだせるように、一歩、二歩と踏み込んでいくことが大切と、中村路子さんはいうのです。貧困という現実に向き合い、悪循環を断ち切るのは当事者である私たちというのです。そして、「ネガティブに捉えられがちなことだからこそ前向きに捉えたい。だから『貧困脱出』ではなく「ラッキーループを巻き起こせ!」が合言葉」と中村さん強調するのです。
令和2年11月下旬、「じじっか」に併設されている倉庫を改装して、屋内広場「じじっか」パークをオープンしました。約380平方メートルです。子どもが走り回れる市内広場です。一面の壁が鏡張りになって、自分たちの行動が鏡に映るのです。
ここで、毎週金・土・日曜のお昼に、いろんなタイプの居場所をつくっています。金曜は思う存分自由に過ごす「ゆったり居場所」、土曜は四つの習い事を体験できる「みんなの習い事」、日曜は地域住民の皆さんと一緒に過ごす「まちの休日」。人とのつながりや学び・体験の機会から「希望」や「可能性」を生み出す場ということです。
「じじっか」パークの一角にはお店のような部屋「ギフトルーム」があります。正面から右にかけて壁には洋服ラックがあって、左側には食品や日用品を陳列します。そこに、寄付として集まった洋服や食材が並びます。このことによって、必要な物をもらえればお金は節約できる。段ボールの中に雑然と入れられた状態から持ち帰るのとは違うのです。ここには、会員の家族たちがみんな「ありがたい」と感謝の気持ちと、「喜び」が加わるのです。「みんなの心をデザインする」ということが、このギフトルームに表れます。
久留米の地域福祉マガジン【グッチョ】誌において、「AUーformaI」実行委員会の 代表 として、中村路子は叶う合う支援について次のようにのべています。
「人口減少社会の中、いろんな人たちが関わりあう地域共生社会になることは日本全体の課題です。私たちも、年齢や性別関係なくつながるには、どんなプラットホームが必要かをみんなで考えて、さまざまな場をつくりました。
その一つに、心の内にあるロマン(理想や大切にしていること)を語り合うことで、人との関わりを広げ深める企画がありました。ロマンを自然体で語れる街って素敵じゃないですか。その場を運営する中で「福祉って、かわいそうな人を支援するというイメージがある」「役割やメリットがないと何もできない」という人の多さに気づきました。
けれど、本来は「あの人の情熱を聞いて感動したから仲良くなりたい」というような、人としての感覚を大事にしながら関わることが必要だと思いました。
行政と市民活動団体では、支援の優先順位や価値観が違います。制度やサービスで暮らしを守ることはこれからも必要。それに加えて、人としての感覚に基づいた「叶え合う支援」を皆さんの暮らしの中に当たり前にある状態にしていきたいです。そのためにも、市役所や社会福祉協議会、そしていろんな支援機関と一緒に取り組んでいきたいと思っています」。
ひとり親たちの血縁なき大家族の市民活動のとりくみには、貧困の自覚、貧困の裏の暮らしを表に出して、それを仲間になった血縁なき大家族の支え合いで改善していく過程で、大きな学びがあったのです。市民の居場所づくりの活動が、貧困者自身の地域福祉活動として積極的にやられているのです。
ここで、大事なことに地域福祉の考えに、行政としての福祉制度やサービス、鵜櫛施設の充実などもあるが、貧困者自身の市民の動としての福祉活動であることから、それぞれが叶え合うという居場所づくりから、貧困者自身が支え合いながら仲間になった大家族のなかで、感動することによって、生きがいを感じて、仲間になっていく深さという孤立からの脱出という精神的な側面からの学びの面があったのです。
単なる学びということでの知識の獲得ということではなく、貧困者自身が生きる喜びを学びながら孤立した意識を変えていくことなのだということです。ここでは、貧困者自身の願いを叶え合うということなのです。
久留米の市の行政として、市民の学びの場は教育委員会での社会教育課があり、市の様々な地域政策の学びとの関係では、生涯学習課があります。
貧困者の市民活動の居場所づくりの学びには、社会教育課、生涯学習課はかかわっていないのか。地域福祉の視点からの子ども未来部総務の担当者がひとり親世帯の市民活動の居場所づくりや、「みんくる」の市民活動にかかわっているのです。
社会教育職員の専門性こそは、市民の文化的要求やスポーツ要求を個別に組織化していくために、趣味お稽古ごとの講座をたてて、その宣伝をして、人を集めていくこと自身は大切なことですが、最も大切なことは、居場所づくりを地域の支え合い活動にいかに発展させていくのかということで、つなぎの役割が社会教育職員の大切な仕事なのです。
また、生涯学習としての地域施策も住民に啓蒙していく仕事も市民の暮らしの要求を市民参加によって、行政の施策に反映させていくことも重要な生涯学習の専門性でもあるのです。
まとめ
支え合う居場所づくりは、学びが、市民活動をとおして、自らの意識改革、行政への市民参加としても行われていることでした。そして、久留米市の叶え合う支援事業は社会福祉法での重層的支援体制の整備ということで、相談支援、参加支援、地域づくりの支援の一体的実施の施策ということなのです。
重層的支援体制整備は、法的に義務ではなく、市町村の任意になっているのです。重層的支援整備という地域福祉は、高齢者分野、障がい者分野、子育て分野、生活困窮者分野となっているのです。重層的支援体制整備によって、地域福祉施策が、積極的に行われていくことは大切だと思いますが、ここに、厚生労働省の競争的補助金によっての行政支援になっているのです。採択の対象市町村は、ごく一部になっています。
厚生労働省のホームページの重層的支援体制についての補助金事業によれば「社会福祉法改正による新たな事業の創設の背景により、重層的支援体制整備事業が創設されました。この事業の創設は、これまでの福祉制度・政策と、人びとの生活そのものや生活を送る中で直面する困難・生きづらさの多様性・複雑性から表れる支援ニーズとの間にギャップが生じてきたことを背景としています」補助事業で、すべての市町村の義務としてではなく、手をあげた市町村自治体から競争的補助事業として全国の市町村の108自治体(令和4年)が補助事業を実施しているものです。
競争的補助金政策は、どうしても政策誘導になっていく傾向になりやすいことに注意をむけていくことが必要なのです。ここに、市町村の自立性と地域の暮らしの現実の状況を直視しながら、市民活動をとおしての住民の暮らしからの積極的な要求、その声を反映していくことが大切なのです。
重層的支援体制整備事業の久留米と厚生労働省の行政資料
「重層的支援体制整備事業の財政支援は、既存制度からの財源を含めて一括で交付して、関係機関によるチーム支援を推進するものです。重層的支援体制整備事業が円滑かつ効果的に実施されるよう、実施計画に基づく事業の実施状況を一定期間ごとに確認し必要な見直しを行います」。
「厚生労働省としては、重層的支援体制整備事業の実施を通じて、これまでの個別制度の下では難しかった、創意工夫のある取組がたくさん生まれることを期待しています」。
市町村が取組を進めるに当たっては、以下のような点に留意いただきたいと思います。
「既にある地域のつながりや支え合う関係性を十分理解し、地域住民の主体性を最も尊重し、関わる住民の意見を聴いた上で、行政から必要な範囲で活動を応援するというボトムアップの視点を重視していただきたいと考えています。
・地域住民や関係機関等と振り返りや議論を繰り返し行うことで、事業の実施状況等を定期的に分析・評価し、必要な見直しを行うだけでなく、事業を実施してみてはじめて生まれた価値にも着目していただくことが重要と考えています。
多様な関係者が参画できる場を設け、それぞれの市町村においてどのような形で包括的支援を展開していきたいか、事業実施の過程で包括的な支援がどのように展開されているか、実施の過程で一部の相談機関等に負担が偏っていないか、地域住民等による既存の取組等の主体性を妨げていないか、財政支援が適切に配分されているか、事業実施を通じて想定外のものも含めてどのような成果が生まれているかなど、幅広い観点での議論を行うことで、重層的支援体制整備事業のより一層効果的な活用につなげていただくことを期待します」。
さらに、厚生労働省の地域での共生社会の施策については、「地域共生社会が目指すものです。平成27年9月に「新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討PT」報告として、「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」が示され、翌年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」に地域共生社会の実現が盛り込まれました。
新たな時代に対応した福祉の提供ビジョンでは、高齢化の中で人口減少が進行し、福祉ニーズが多様化・複雑化しており、福祉の提供において、「包括的な相談から見立て、支援調整の組み立てに加えて、資源開発し、総合的な支援が提供され、誰もがそのニーズに合った支援を受けられる地域づくり」を行う新しい地域包括支援体制を構築するとともに、新しい支援体制を支える環境の整備(人材の育成・確保等)を行い、地域住民の参画と協働により、誰もが支え合う共生社会の実現を目指す必要があるとの旨が示されました。
ニッポン一億総活躍プラン(平成28年6月2日閣議決定)では、「子供・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる『地域共生社会』を実現する。このため、支え手側と受け手側に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、福祉などの地域の公的サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる仕組みを構築する。また、寄附文化を醸成し、NPO との連携や民間資金の活用を図る。」とされました。
これらのことから、地域共生社会は、福祉施策が担う「支え・支えられる関係が循環し、誰もが役割と生きがいを持つ地域社会の醸成」だけでなく、社会・経済活動の基盤としての地域での「人と資源が循環し、地域社会の持続的発展の実現」の視点も重要であり、地域での暮らしを構成する幅広い関係者による“参加と協働”が求められる取組といえます」。
久留米の地域の福祉計画
「久留米市は、平成23年度に「第2期久留米市地域福祉計画」を策定。「『こころ』あふれる支え合いのまち くるめ」を基本理念として、地域住民の皆さまや関係団体の皆さまと協働し、地域福祉を進めてきました。
しかし近年、少子高齢・人口減少社会や地域のつながりの希薄化などが急速に進展しています。分野を超えた支援が必要な「複合的な課題」を抱えた人や、これまでの制度では対応が難しい「制度の狭間」にいる人などへの対応が欠かせない時代になっています。
そこで国は、「ニッポン一億総活躍プラン」で、すべての人々が暮らしや生きがいを共に創り、高め合える「地域共生社会」の実現を掲げ、新たな地域福祉施策を進めています。
これに合わせて久留米市も、地域社会を取り巻く環境の変化、見えてきた新たな課題などを踏まえ、これらに対応する取組みをより一層充実させていくため、地域住民の皆さまや関係団体の皆さま、久留米市社会福祉協議会と共に、令和2年3月に新たな地域福祉計画「くるめ支え合うプラン」を策定しました。
また、令和3年4月には、社会福祉法の改正で「重層的支援体制整備事業」が創設されました。久留米市は初年度から事業を開始し、地域共生社会の実現を目指しています」。
ロマンを通して人と人との関係が深まる実験の場「はじロマ会」
また、これからの社会にどんな場(プラットフォーム)が必要なのかも模索しました。そして、生まれてきた一つの場が、ロマンを通して地域福祉を感じるお話会「はじロマ会」です。令和2年度、月1回の頻度で開催してきた会では、参加者が暮らしの中で感じた自分のロマンを話し、残りの人は心を開きロマンに浸る。ただそれだけの目的もない会です。
この場で、とても面白い変化が見られました。会の終了後、初めて会った人同士が、あたかも前から知っている人かのような距離感で話すようになります。また、やりたいことを深く知った人同士、その後の関係が簡単に形作られ、連携した事業なども生まれました。
久留米市長の考え方「今後は、まちづくりの鍵を握る「人」を育て、支えることを大切にしながら、「街を伸ばし、暮らしを守る」取組を進めていくことが何より重要であると考えております。また、久留米市が多様な都市機能を維持・強化していくことで、県南の中核都市として持続的に発展していかねばなりません。
専業職種で安定して暮らせる『安心・安全で活力にあふれた、誰もが活き活き生活・活躍できる共生のまち』を目指し、久留米市を成長発展させる取り組みを進めてまいります」。