社会教育評論

人間の尊厳、自由、民主的社会主義と共生・循環性を求める社会教育評論です。

社会教育全国集会・北海道恵庭に参加の学び

社会教育全国集会・北海道恵庭に参加の学び

      鹿児島・神田嘉延

 

 地域に根を張り、学びと協働で築く新時代と称して、社会教育の本質を今一度と問う研究集会でした。北海道を中心に全国から地域の暮らしや文化に根ざした社会教育実践の率直な語らいから、課題を深めていく全国的な研究会でした。600名の参加でした。一日目は、全体集会と交流会で、2日目は、18の分科会に分かれて、それぞれの分野別の報告と討議でした。わたしは、農をめぐる学びと協同の分科会に参加しました。全体会と分科会の報告と、その感想と意見について、のべたいと思います。

 

 一日目の全体会

  一日目の全体会は、北海道の地域の社会教育実践として、ワーカーズコープの報告、恵庭の子ども会育成連合会の報告、地域福祉の非営利法人・あいの報告、NPO法人EZOROKKUの環境活動の報告から社会教育の本質に迫るというものでした。

 北海道のワーカーズコープは、組合員400名で、指定管理団体として、5つの事業を展開しています。子ども食堂や高齢者のための食事配達事業も行っています。報告では、新しい挑戦として、長沼町の廃業になったゴルフ場跡を農と暮らしという視点から、羊を飼って、完全に廃棄物をつくらないで、地域の環境にやさしい循環経済になっていく構想ででした。

 その構想による長沼町との契約団体に指定への挑戦話であった。残念ながら契約法人にはならなかった。羊を飼って、羊のすべてを利用して、環境にやさしい循環経済という地域の夢を語るということでは、大きな成果があったということです。

 長沼町ゴルフリゾート跡地利用について、長沼町産業振興課企業誘致推進室は、住民説明会で、民間事業者と対話し意見や提案を伺うことで事業成立の可否を調査する手法をとったとしています。

 そして、跡地利用事業の公募審査の結果を令和7年2月に公表しています。契約候補になったのは、JFEエンジニア株式会社です。植林事業及びバイオマス燃料化事業・発電用チップ生産。近隣山林から原木を受け入れバイオマス燃料チップ製造して、近隣バイオマス発電所へのチップ販売の事業です。

 バイオマス発電は、カーボンニュートラルに積極的に貢献する一方で、原料の収集や運搬にコストがあがり、効率的に安定供給のために乱伐や海外からバームヤシ殻などを輸入するなどの環境への問題点も指摘されることです。近隣市町村から安定的に乱伐しないで自然循環管理方式と自然にやさしい発電方式で行われていくことが環境に配慮した原則ですが、それがどのように保障されていくのかということが極めて大切なのです。

 長沼町は、ひとと自然が共生する美しいまちをめざすために荒廃化しつつあるゴルフ場内の環境を改善し、開放的な地形や景観を生かした人が集まる施設の建設やアリアの整備を行って地域経済の活性化の事業を基本とする趣旨をあげています。 

 恵庭の子ども会の事例は、役員をなかなか引きうけない実情のなかで、最初は会長を引き受けたが、子ども会それ自身に、意味はないと思っていたということです。コロナで活動がなくなっていた。

 どこの地域でも役員の担い手がいない。まずは、役員全員で、そして、みんなで考えようということからはじまったということです。とくに、子ども会としての課題とはなにか。その課題解決に心がけることを。

 学校や町内実施で学べないことをやるということを設定したのです。町内会に未完入でも学校をとおして、イベント行事を流した。大切なことは、イベントをしていくうえで、保護者に理解してもらうことに力を入れたのです。火起こし体験や昔の原始時代の体験などを子どもたちに経験させて、子どもたちの喜びを実感させたのです。

 遊びを中心として異年齢の集団活動をとおしての子どもの自立や協調性を育むことを重視しているのです。このような実践をとおして、子ども会の子どもの成長にとっての大切な役割があることを認識していったのです。

 恵庭の子ども会の実践として、それを指導していく大人の担い手をどのように育成していくかという大きな課題があったのです。運営は話し合いによって、我が子だけではなく、地域の子ども全体を育てるということを活動のなかで、みんなが高まっていくということで、次世代へ継承していくということです。

 そして、とくに父親の主体形成として、仕事と子育て、地域と文化なども子育て活動を通して継承していくということで、自治体や学校などに積極的に要求していくことも大切ということです。今までの仕事は父親で、子育ては母親まかせの時代からの大きな脱皮です。子育て手のおやじの会は重要な役割を果たすというのです。

 介護福祉のあい(特定非営利活動法人)の実践は、地域の福祉協議会との関係を強くもっての実践報告でした。障がい者、高齢者、児童の発達支援事業、放課後デイサービス事業、福祉の人材育成事業・研修事業などを実施している法人の報告でした。

地域の住民は魚を当初、福祉の世話になりたくないという意識をもっていたということです。現代は福祉を進めていくうえで、地域では町内会や自治会に頼らざるをいない時代です。

 福祉制度のはざまで、落ちこぼれていく人々がいる現実をみなければならいなということを意識的に行った。一人でも多くの人が住み慣れた場所で暮らしたいという願いをもつ人が多い。行き場のない家庭がたくさんあるのです。一人で孤独で暮らす人も少なくないのです。街づくりという視野から福祉を考えていくことが必要ということです。地域の福祉活動と社会教育の出会いがあった。

 いろいろな人が集まり、語るという社会教育の実践の出会いです。社会教育の学びは、「決めつけない」ことから。語らいのなかで、一人一人が「なるほどな」ということの言葉がでてくるように。地域福祉という実践活動をしていくうえで、地域でのさまざまな組織は大切な役割を果たす時代です。

 かつては、町内会や自治会などの地域網羅的な相互扶助のコミュンティティとして、大きな役割を占めていました。しかし、現代は、地域組織が従前のように機能していないのです。目的意識的に相互扶助の地域組織を、それぞれの目的別、機能別につくっていかねばならない時代です。

 その統括的役割は、市町村の行政の暮らしを支える、福祉を充実させていく機能です。その行政の暮らしや福祉の充実の機能を住民主体となって結びつけていくのが本来の社会教育の学びの役割なのです。この意味で、市町村福祉行政と密接につながっている社会福祉協議会の役割は大きな意味があるのです。

  「野外で気持ちよく音楽を楽しみたい」ということから、ごみ分別を13にわけて環境活動を実施しているNPO法人EZOROKKUの活動報告でした。会員は400名でみんなで話し合って、チームで常に環境対策活動を行うということです。

 そして、集めたごみのなかでの生ごみを集めて、豚の糞と混ぜて、たい肥をつくり、そのたい肥を畑にまいて、ジャガイモを育てるオーガニックファームづくりの体験の実践をしているのです。さまざまな音楽のイベント事業を実施しています。アフリカ民族音楽祭も実施しています。

 音楽祭には多いときは、7万人が集まります。そこでは、参加者は、ごみの分別を徹底させるということです。また、ボランティア活動として、地域からごみを無くしていく活動をしています。

 環境再生型農業で生計がたてられるように地域農業の継承という視点から大豆や白花豆などの基本技術の習得の機会を提供しています。2020年4月に設立して、18名のスタッフで運営しているということです。

 浦幌町子ども会議の活動報告は、子ども会議が、教育委員会・公民館、まちづくり政策課と協働の活動からNPO法人、企業と地域の団体などが一体となって、「自らの住む地域は自らが創る」「想いをつないで未来をつくる」多世代協働による支え合いのまちづくり事業の実践報告でした。高校がなくなり、地域の人口が減っていったが、最近は、転入者が3年間で、198人ということです。

 地域の食文化を守りたいということで、跡継ぎのいない蕎麦屋を20歳の青年が店主にはじめたということも生まれています。そして、小中一貫教育を行って、体験学習を大切にしています。

 民泊体験学習を小学校5年生に、中学3年生には、地域活性化参画として、大人たちへの提案を子どもの想いとして行っているということです。大人と共に協働によるワークショップで通算117回になるという。

 高校の廃校から町には未来を描くことがないないほど沈んでいたのを中学生の町の活性化提案によって、大きく変化したということです。社会教育の活動によって、まちづくり政策課も子どもたちと共に活気がでてきたのです。まちづくりの活動に参加したら社会教育と地域政策課の協働が進み、福祉や農業、まちの産業づくりとどんどん広がって、みんなが楽しくなっていく状況になっていったということです。

 若者と高齢者などが協働できるように町内各地に買い物場をつくり、スマートホンのよろず相談などもやっています。大自然のなかで生きる「うらほろ大学」と称して、学生や企業、アスリートと協働する人材育成プログラムも実施しています。

 この実践で教訓的なことは、高校の廃校という地域衰退の象徴的な出来事から、中学生からの地域活性化の提案の活動や省が小学生の民泊体験学習によって、地域の自然の良さを発見してもらう活動など、学校教育と社会教育、そして、市町村のまちづくり政策課が密接に結びついて活動を充実していったことです。

 

農業分科会に参加して

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  パンツ埋めてみたというたい肥づくりの訓子府町4Hクラブの実践報告は、ちょっとわたしにとって衝撃的な報告でした。インパクトを与えるということで、パンツにこだわったという農業青年後継者の実践でした。実際は、市販の綿のパンツを大量に買ってきて、それを埋めて、たい肥化させる取り組みでした。

 粘土質で悩まされている農地を改善したということです。ねらいは大きなインパクトを与えるためにパンツを埋めてみたという大きなスローガンでのたい肥づくりの実践報告でした。これに農業改良普及所の指導にある4Hクラブと町の社会教育課が積極的にバックアップしたということです。

 子どもたちの未来につながる「エシカルンテ札幌」のNPO法人「めぐりる」の実践報告でした。「めぐりる」は、お母さんたちの集まりです。オーガニック食材を活用しての地元食材を学校給食に提供していくという札幌市郊外の安平町での実践でした。人口7333人で、給食は800食ということです。

 「食べることが生きること」の上映運動をして、みんなで学校給食を考えていくことから出発したのです。学校給食は食育活動としてとらえていくことが現実には不足している。

 有機農業というとイデオロギー的側面でとらえる親や教育関係者もいるので、エシカルンテということばをわざわざ使ったというのです。子どもの体験学習の拡大も教育の場に積極的にとりいれてもらうために、学校と教師と父母との連携の重視、保護者どうしの協働関係の充実など今後の課題として大きくあるということでした。

 長沼町の大地とはぐくむ「まおい羊化計画」の報告は、全体報告の長沼町のワーカーズコープの報告とも重なるところが多くありました。自然の一部として生きるための学びとして、かつて羊の文化があったものを現代的に再評価して、羊による地域の自然循環的な経済、羊から生まれる衣食住を考えたということです。

 とくに、農業の役割は、食糧だけではなく、さまざまな業種を含んでいる地域の総合的産業で地域循環的な産業ということで、大地や社会の在り方を考え、生命活動を現在の科学・技術の成果で考え直し、持続可能性、多様性ということで、自然と共生する美しい地域づくりということの強調でした。