
京都の亀岡市で開催された全国農業教育研究大会に参加していろいろのことを学ぶことができました。亀岡市は、京都の奥座敷と昔からいわれ、保津川下り、明智光秀の城下町として知られるところです。また、江戸時代の商人道徳石門心学(勤勉・倹約・正直)を築いた生誕地としても知られるところです。現代は、有機農業の里として、行政が取り組み、リサイクルに力を入れてごみをなくすことで、観光に力を入れているところです。
大会参加者は、農業高校の先生をはじめ、小学校から大学まで食農教育に関心をもつ人たち、農家の人、農村地域の住民、食と農に関わる企業人、行政職員と多様な層から参加者でした。
記念公演は京都大学の藤原達史教授の食と農から学ぶということで、食権力という視点から19世紀の産業革命から膨大な穀物市場形成、輸入依存の食生活を構造的につくりだしてことで、世界の穀物商社メジャーが金融資本と結びつい巨大港をつくりだした。そして、食権力を形成して、世界的規模で飢餓を作り出してきたことを話された。
さらに、この食権力に対抗する力が里を中心としたスロフード運動、地産地消運動ということで、地元のものから積極的に食べようとうことで、人間とかんきょうという原点にたって、ないもはないということで、地元にあるものを見直して地域づくりをしていくことが必要ではないかという問題提起でした。そして、よりよく楽しく、安心する囲いをつくり、そこで自由に地域で生きることの大切さの力説でした。

全体集会のパネリストは3人の登場でした。亀岡市の農林振興課の荒美大作氏、亀岡市で自然栽培を8年間している片本満大氏。福山三和小中一貫学校で元教師である吉田武彦氏のボランティアによるカリキュラムつくり、そして、その実践の報告でした。
荒見さんの報告は、なぜ亀岡市が有機農業なのか。人口85730人で、昔から京都に食材を提供するところであった。京都料理には欠かせない主要な農産物の生産地。しかし、農業就業人口は著しく減少しています。農業就業人口は2000千名です。92名の新規就農者の92名のうち39名が有機農業実践者です。学校給食も地産地消を展開しています。食育教育の素材には有機農業で実践しているということです。
片本さんは、元クロスライダーであった。怪我をして、35歳から農業をはじめ、有機農業8年目ということです。80種類の野菜を植えて、3棟のハウスで経営しているというのです。保津川の土手の草を提供してもらい、落ち葉で土づくりをして、肥料や農薬を使わない農業をしています。
販売はふるさと納税を使い、1年年間の定期便をしています。食農体験型学習として、学校給食に提供している食材の現場をみてもらっています。亀岡にはオーガニックの店がないのが現実です。学校給食をとおして、体験も含めて、地産地消の有機農業を知る大きな役割をしています。
福知山三和の小中一貫教育の学校で、地域教材のカリキュラムを自らつくり実践しているのが、吉田さんで元学校教師です。地域の歴史や養蚕、コメ作りを体験学習としてブランティアで教えています。
2006年には4400人いた人口が2025年には2881年になった人口減少地域です。しかし、移住者が増えているのも最近の特徴です。つまり、新しい子育てを求めて移住してくる親たちがいるのです。三和地区をまるごと地域博物館として、統合して廃校になった川合小学校跡地を利用して、三和創造学習を展開しているのです。
地域の中学生が自分たちでまとめて地域のことを情報発信しているのです。農具は昔のものを利用して、養蚕の器具も昔のものを探しだして、昔の養蚕の暮らし、かいこ、まゆからの生産過程など糸繰などの生活などを復元して、体験学習で子どもたちに郷土の歴史文化のすばらしさと未来への人間と自然との関係で、人間の暮らしの在り方を教えているのです。
この実践をとおして教育とはなにか。子育てとはなにか。自立とはにかということをあらためて問いているといのです。受験戦争という厳しい競争主義に対する対抗の実践であると吉田さんは語るのです。
翌日の分科会は食農教育に参加しました。栄養教員の2本の報告と、企業関係者から2本の報告と、神田の教職原理科目(教員免許必修)での農業や農村の役割を教育思想からひも解いていく講義しているおとを報告した。神田の「農は脳とひとをよくするー子どもの発達と地域」のテキストを紹介しながら。
栄養教員の報告は、京都市の早田江美氏の学校給食として、地場産のものを使用、手作りの料理の奨励ということです。また、給食をとおして、心を育むということで、給食献立の日めくりカレンダーをだして、だしのうまみ、季節感と旬の味、伝統食を大切にした食の教育を実施しているということです。地場産の食材は国産の小麦、京都府内の米使用、京野菜、京北みそ、京都三代つけものを使用しているということです。そして、米粉にこだわりの立ち上げをして、小麦からの脱皮を考えているということです。
同じ京都市からの元栄養教員の中野道子氏からは、心と体を育む食育教育として、教育の側面を前面にだしながら、何を食べるのかということで、安全、健康維持・適正栄養で楽しめる、旬や食文化、国産・地元産・栽培した食材で手作り、食糧自給率などの食育の教育課題を積極的に提示したものでした。そして、どのように食べるかということで、搬送に時間をかけずに、調理の姿や食の背景を感じ、食べることでの自治的活動を育てる、人とのつながり味わいと食事観、計画的・系統的な学びということ。
味わうことで知覚の発達、五感で味わう体験、人とのつながりという食事観の形成がきわめて大切と強調したのでした。また、建前から体にいいよ、旬の味だよ、栄養が大切という教育などから食べたくない、食べさせられたという屈服観を問題のある教育としています。
現代の学校給食は、 それぞれの学校ではなく、給食センターという集中化と効率性になっています。また、栄養教員も各学校に配置していることもない状況です。このことは、子どもたちの直接的に身近に食材との関係を体験し、調理にふれながら日常的に食育教育を実践することが難しくなっている現状があるのです。
子どもの食をめぐる状況も、摂食不安という食事行動に異常がでていたり、偏食になったりする傾向も増えているというのです。また、思春期やせも生まれているというのです。思春期やさは、死亡にもつながり、回復が長期になるというのです。最近は小児期の発症が急増しているということです。
これらは、子どもの実態に対応したきめのこまかい学校の食育教育の重要な課題となっているのです。つまり、摂食指導や思春期やさ問題の支援も大切な教育課題となっているというのです。ここでは、栄養教員と、各教職員との連携が大切ということなのです。
玄米給食を学校給食に提供している塩の製造の企業家の平川善博氏の報告でした。大阪南部の岸和田市をはじめとする自治体では、学校給食に玄米食を提供しているということです。いかにして、白米よりもおいしく食べることができるのか。この工夫を陽水塩を使用して、長年に積み重ねて、ついに学校給食に提供することができたということです。くすりやサプリメント依存症からの脱皮ということで、医学的にも追跡調査をしているということです。食べるということは生命を維持して、味覚を形成して、楽しさをつくっていくということで、加工食品では味あうことのできない豊かな文化をもつことができるという報告でした。
学校給食に食器類等をだしている企業の営業マンが、学校に出向いていくなかで出前授業をしているという海老原誠治氏の報告でした。現代のイノシシ、シカ、クマなどの獣害被害をどう考えるかという問題提起です。近代以前は、それらを広く食べていたことを考える必要があるのではないかということです。シビエ料理とよばれていたというのです。山の神とは、なにか。イノシシは、山の神から贈られたものではないか。近代のことばでありますが、いただきますということで、まさに自然界の命をいただくという行為であるのです。人間は自然での命との関係で野生動物との関係で精神的なジレンマをもっていたのです。それが、イノシシやシカの命を供養する文化が山村ではあったということです。これらの具体的事例を学校での教材にしていくことが必要とするのです。人間と自然との関係で、食は自然の神からの贈り物として、畏怖していくというのです。