地方での人材育成の大切さ
2018年3月現在、日本の人口は約1億2000万人と言われています。ただ、80年後の2100年には半分以下の5200万人になるといった予想も。出生率が全国で最低の東京に人が集まることによる出生率の低下が大きな課題となっています。
政府が策定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」があります。地方活性化の人材養成による雇用を創出し、東京一極集中を是正していくといった取り組みです。地方創生は、言うまでもなく「ひと」が中心です。長期的には、地方で「ひと」の養成をして、その「ひと」が「しごと」をつくり、「まち」をつくるということです。
地方への新しい「ひと」の流れをつくるため、「しごと」の創生を図りつつ、若者の地方での就労を促すことです。若者をはじめとして、暮らしの環境を心配することなく、地方での「しごと」にチャレンジでき、安心して子供を産み育てられるように支援を実現するということです。
「地方創生人材支援制度」地方への人材還流、地方での人材育成、雇用対策・「地域しごと支援センター」の整備・稼働・「プロフェッショナル人材センター」の稼働・地方が自立につながるよう自らが考え、責任を持って戦略を推進。各地域の自治体が、産業・人口・社会インフラなどに関し必要なデータ分析の必要性があります。
都城農業高校の地域人材養成の挑戦
時代の変化に適切に対応するため、柔軟な発想を持ち、豊かな創造性を発揮して、明日の本県の農業及び関連産業を支え、発展させる人材を育成に都城農業高校は挑戦しています。
デュアルシステム(学びながら働く、働きながら学ぶ)を実践し、学校・地域・行政が積極的に連携し農業担い手及び理解者を育成するという実践です。
JA都城と共に担い手育成事業にしっかり取り組んでいます。日本農業にとって後継者育成の課題は危機的な状況にあると言っても過言ではない。このことから、都城農業高校は、農業担い手育成事業(デュアルシステム:学びながら働く、働きながら学ぶ)を実践しています。
学校と農家や農業法人、農業関連企業が一緒になって農業後継者や農業理解者を育てていく事業をはじめたのです。現在22の農家や農業法人へ年間を通して毎週木曜日の午後に農業体験実習を実施しています。JAからの支援金は本事業成功のために、有効に活用させています。 農業を取り巻く環境の変化に伴い、関係機関の連携が強まっていると感じているのです。
このような中、都城農業高校が取り組んでいる「デュアルシステム」のように、学校だけでなく地域においての研修も行うような取組がさらに広まればと考えているのです。この実践について、平成29年度第2回宮崎県農政審議会では期待する発言がだされています。
各地域における地域学校協働活動と地域福祉
「キャリア学習」と「地域貢献」ということで、総合的な学習の時間を活用したキャリア教育と福祉教育の結合が都城の中学校で実践されています。そこでは、福祉施設訪問、疑似体験活動ということで、車いす体験、職場体験学習をして、さらに、生徒がお祭りなど地域の行事へ積極的に参加している活動をしています。
中学校の学校経営として、社会福祉協議会との連携を強めることで、高齢者福祉施設訪問など多くの支援ができるように工夫がされています。生徒がお祭りなど地域の行事に積極的に参加できるよう、中学校の生徒会担当の教員に行事一覧表、ボランティア活動やボランティア講習会等への参加募集のチラシを提供し、参加者を募集をしているのです。PTA 関係者や学校関係者も校務分掌に位置づけて、参画しています。
都城盆地の人口減少は厳しいものがあります。農林業、介護・医療をはじめ、労働力不足は深刻になっています。このようななかで、ベトナムをはじめ外国人労働者によって、地域が支えられているのが現実になっていますが、日本語・日本文化の取得など十分な教育が保障されて来日していない現実があります。
そこでは、単なる安価な労働力で使用されたり、労働条件も十分でない職場もなかにはあります。地域の人材育成という視点からベトナム人をはじめとする質の高い外国人労働者の確保のために、新たな教育システムを地域で確立する必要があるのです。
ところで、地域では、子どもの貧困問題も進んでいます。子ども食堂のとりくみも各地ではじまっています。経済の問題と結びつけて子ども達に夢と希望を持たせていく教育は、学校と地域企業が共に連携していかねばならない課題です。
ところで、地域では、子どもの貧困問題も進んでいます。子ども食堂のとりくみも各地ではじまっています。経済の問題と結びつけて子ども達に夢と希望を持たせていく教育は、学校と地域企業が共に連携していかねばならない課題です。
貧困家庭で育った子どもの中には、自分の将来を生活保護で暮らせばいいと、進路には夢も希望もないと答える子どもさえ生まれています。労働力不足の地域の状況のなかで仕事に夢や希望を持てない子どもが生まれているのです。
コミュニティスクールと学校支援地域本部
学校教育の新しい考え方として、 中央教育審議会は平成27年12月に「学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策」を答申しています。
「学校を核とした地域力強化の観点から,全公立小・中学校において,学校と地域が連携・協働する体制を構築するために,コミュニティ・スクールや学校支援地域本部等の取組を一層促進する旨が示されています。地方創生の実現に向けて,これからの子供たちには,地域への愛着や誇り,地域課題を解決していく力が求められているのです。
「学校を核とした地域力強化の観点から,全公立小・中学校において,学校と地域が連携・協働する体制を構築するために,コミュニティ・スクールや学校支援地域本部等の取組を一層促進する旨が示されています。地方創生の実現に向けて,これからの子供たちには,地域への愛着や誇り,地域課題を解決していく力が求められているのです。
この答申での開かれた学校とは、地域の将来の担い手を育てるために、地域でどのような子どもを育てるかという教育目標やビジュンを住民と共につくりあげていくことの提言がでているのですが、それをどのように具体的に実現していくのかは明確ではありません。行政の役割や社会教育の役割を含めて検討していく課題があるのです。
学校教育では、社会教育と連携して、地域の人々と共に、地域に誇りがもてるような教育をしていくことです。地域で働き、生活する人々が学校教育に出かけていくことが期待されているのです。また、地域の教材を積極的に授業で活用する教師の実践も求められます。
都城盆地の歴史文化を教材にして、日本や世界の歴史文化を理解できる授業の工夫も必要です。それは、授業の工夫ばかりではなく、子ども達が実際に目でみて直観できる遺跡博物館や遺跡展示物の教育行政での条件整備も求められるのです。
子ども達に将来、地域で活躍できる夢や希望をもたせるには、どういう進路指導、職業教育をしたらよいのか。都城盆地でどのようにしたら地域・企業と学校が一緒になって、地域の担い手になる子どもをどう育てるのかという教育目標を定めることができるのか。
社会教育法改正による地域学校協働活動の推進
社会教育法が改正され、平成29年4月25日に文部科学省は、地域学校協働活動の推進にむけたガイドライインを出しています。ここでは、学校を核とした地域創生を積極的に打ち出し、学校には、社会に開かれた教育課程を推奨しています。地域学校協働本部が地域住民からつくられていく時代です。
都城では様々な地域団体が積極的な活動をしています。しかし、それらが、統一的に地域振興計画や社会教育計画と結びついているわけではありません。つまり、行政による地域づくりの長期的な戦略が不足しているのです。
都城では、盆地祭りの継続性の問題やおかげ祭りなどとの連携・各種機関や団体との横のつながりをつくる必要性と講座の開設が求められているのです。地域デザインの仕事としての、地域社会教育計画と策定という社会教育専門職員が重要なのです。それは単なる社会教育職員がオーガナイザーになることではありません。
どの地域でも同様な傾向があります。地域デザインの仕事の実際はどのようなものでしょうか。まちの住民、行政、民間団体とともに地域づくりやビジョンづくりをするコーディネーターやコンサルタントの仕事がこれにあたります。また、地域づくりの戦略づくりが求められるのです。ここいは、地域振興計画と社会教育による人材育成という仕事が長期的な社会教育計画と結びついて展開される必要があるのです。