社会教育評論

人間の尊厳、自由、民主的社会主義と共生・循環性を求める社会教育評論です。

2021-01-01から1年間の記事一覧

暮らしの学習権と地域主権への公務労働

暮らしの学習権と地域主権への公務労働 はじめにー人間らしく暮らしていける学習権ー 本論では、暮らしの学習権と地域主権への公務労働の課題を人間らしく生きる権利として取り扱うものである。暮らしの学習とは、現実の社会的な矛盾のなかで、差別と貧困を…

貝原益軒と習俗からの学び

貝原益軒と習俗からの学び はじめに 貝原益軒が少年時代を過ごしたのは、筑前の飯塚市八木山の集落です。現在は、その地に貝原益軒学習の碑があります。飯塚市から福岡市への国道201号の山を登っていく道路沿いに、八木山小学校があります。その向かいの道を…

ナムディン省農業高校の開校にあたってのあいさつ

ベトナムナムディン省農業高校が2021年9月6日に開校しました。日本の農業高校をモデルにしてつくったナムディン省の農業高校です。日本とベトナムの友好発展をめざす学校です。第1外国語は日本語です。農業クラブなどクラブ活動を大切に、体験活動を重視し…

大原幽学の協同組合思想と教育論

非常にわかりやす書かれたものです‼️ 大原幽学の協同組合思想と教育論 大原幽学は、農村における商品生産の発展のなかで、窮乏化する家族農業経営と生活を先祖株組合という方式によって、問題解決をした実践的な思想家です。日本ではじめて協同組合を幕末に…

中世の足利学校と伊集院九華(大隅国出身)

中世の足利学校と伊集院九華(大隅国出身) 日本における戦国時代に儒学の学問を修めて平和を考えようとした学校があったのです。それが足利学校です。現代の混迷した政治状況と平和を考えていくうえで、為政者のモラルをみていくうえでひとつのヒントを与…

新型コロナ蔓延とオリンピック精神

新型コロナ蔓延とオリンピック精神 毎朝、早く起きて1時間半ほど森のなかを楽しくジョギングをして楽しんでいます。体を動かせることは本当に幸福感を感じています。いつまでも走れることを希望しているところですが、人間も自然の一部で、いつかは衰えてい…

現代青少年の非行問題と遠軽家庭学校の教育農場から学ぶ

現代青少年の非行問題と遠軽家庭学校の教育農場から学ぶ はじめに 青少年の非行問題の基本的な考えは、少年法という法によって示されています。その理念は健全育成という福祉や教育を重視しているのです。遠軽の家庭学校は、百年以上の歴史をもつ教育農場に…

農業中心の地域循環経済と人材養成

農業中心の地域循環経済と人材養成 はじめに 地域循環経済にとって、農業は極めて大切です。 地域循環経済とは、日常の暮らしの物質やサービスの経済を受けるときに、多くがグローバル化しているなかであらためて問われる課題です。特産物や高級品、特殊の医…

竹の自然循環の宝と公害

竹の自然循環の宝と公害 地域資源の開発は、持続可能性をもつ地域循環経済の創生に重要な役割をもっています。これには長期的な視点をもつことが必要です。そして、一歩一歩、それぞれの生活必需品に基づいての開発が求められるます。とくに、エネルギーや食…

現代社会の道徳問題と社会責任の生涯学習

現代社会の道徳問題と社会責任の生涯学習 はじめに 現代日本は1990年の後半から経済が停滞し、社会経済の活力も大きく失われいる。若い人々が積極的に未来社会を作っていこうとするエネルギーも少なくなり、現状に対する不満が溜まり、自己保身的、利己的、…

現代の資本主義のモラル問題 と企業の社会的責任

現代資本主義のモラル問題 と企業の社会的責任 現代の資本主義のグローバル化は、生産・流通・消費と深く浸透している。この矛盾が新型コロナ禍で明らかになった。日常生活必需品、マスクなど感染対策の基本的な予防品や医療品の自国での自給生産体制がとれ…

日本とベトナムの交流史から学ぶ共生

日本とベトナムの交流史から学ぶ共生 c 日本とベトナムの交流史をとおして、共生で生きることを考えて行きたいと思います。日本の近代史では、大東亜共栄圏と称して、アジアへの侵略をして、多くの人びとを苦しめたことがありました。世界との交流で、自分た…

社会教育・生涯学習研究所「住民の学習と公務労働」のシンポジュウムの感想

社会教育・生涯学習研究所「住民の学習と公務労働」のシンポジュウムの感想 神田 嘉延 4月18日にオンラインでの社会教育・生涯学習研究所のシンポジュウム「住民の学習と公務労働」に参加しました。オンラインでのシンポジュウムがどのようにして、行われ…

自然資本の経済と循環型暮らしの学び

自然資本の経済と循環型暮らしの学び ーポール・ホーゲンよりー 神田 嘉延 はじめに 人類は自然の恵みによって生きてきた。人間の暮らしと自然は密接に関わり、人間は自然によって生かされてきたのです。人間の能力は、自然との共生のなかで、人間らしく発揮…

知足と利他により新しい自然共生経済

知足と利他により新しい自然共生経済 シュウマッハの仏教経済学ースモールイズ・ビュートフルー 人間は高度な科学・技術をもった。それは、当面の富を得ることに集中した。人間のもつ我欲は、効率性と大量生産を追い求めて、自然破壊をしてきた。人間の知性…

自然共生と慈愛の地域振興思想ー日本近世の思想家からー

共生と慈愛の地域振興思想ー日本近世の思想家からー 地球温暖化ということで、脱炭素社会が世界的に大きな課題になった。日本も2050年までに脱炭素社会の宣言をしている。脱炭素社会は、人間の経済活動、社会生活、日常の暮らし方を自然との共生関係で考えて…

イノベーションと社会教育・生涯学習 ーシュンペーターの資本主義・社会主義・民主主義から学ぶー

イノベーションと社会教育・生涯学習 ーシュンペーターの資本主義・社会主義・民主主義から学ぶー 神田 嘉延 はじめに コロナ禍で、仕事を失い、収入が激減している階層と特定の企業で高利潤の急成長がみられ、株式の急騰で高所得をあげているように、格差が…

若者の夢と高校教育の課題

若者の夢と高校教育の課題 1,ベトナム初の農業高校創設のとりくみ 2021年からベトナム・ナムディン農業高校が開設されます。ベトナムの経済には農業は輸出産業として、大きな位置を占めています。人口の多くも農村に住んでいます。 ベトナムの近代的産業の…

民主的社会主義と社会教育型国家

民主的社会主義と社会教育型国家 神田 嘉延 現代は国際的に格差から貧困問題が大きな課題になっています。福祉国家の資本主義諸国での財政を通しての社会保障制度もありますが、格差からの貧困問題の解消になっていない。年間10億ドルを越える資産家は2000…

霧島における明治8年民主憲法の草案

霧島における明治8年民主憲法の草案 鹿児島大学名誉教授 神田 嘉延 はじめに. 霧島山麓は、古来から六所権現として、殺生を嫌って、修行したといわれる性空上人の僧など、極楽浄土の地であった。まさに、平和を祈る山であった。ここには、神仏混合、隠れ念…

西洋の近代の永久平和論と戦争論

西洋の近代の永久平和論と戦争論 神田 嘉延 憲法九条の意義を、西洋近代の永久平和論や民主主義統治論、戦争論など人類史的な思想から深めてみることにした。 晩年のカントは、自由と、平等、博愛の近代フランス大革命の後に、永遠平和のための著書を書いた…

世界連邦政府構想と共生文明―核兵器禁止条約発効にー

世界連邦政府構想と共生文明―核兵器禁止条約発効にー 核兵器禁止条約が2021年1月22日から発効された。この条約は、2017年7月7日に国際連合総会で採択されたものである。核兵器全廃に向けた包括的に禁止する条約である。対象は核兵器で、平和目的での核利用は…

日本の伝統的な平和文化と有徳国家

日本の伝統的な平和文化と有徳国家 (1)近代以前民衆の暮らしのなかにあった文化 憲法九条は、日本が世界に誇れる平和主義文化の証である。この平和主義の文化は、日本の歴史的な伝統文化とどのような関係にあるのであろうか。日本の国家は、戦前に軍国主…

国際機関で平和のために尽力した新渡戸稲造と安達峰一郎

国際機関で平和のために尽力した新渡戸稲造と安達峰一郎 日本の戦前は軍国主義にむかっていくが、そのなかで体をはって国際平和のために活躍した新渡戸稲造(武士道を書いたことで有名)と国際司法裁判長になった安達峰一郎は特質すべき人物である。 (1)…

江戸時代の平和思想ー安藤昌益の武器全廃論と横井小楠の世界兄弟論ー

江戸時代の平和思想ー安藤昌益の武器全廃論と横井小楠の世界兄弟論ー (1)安藤昌益の平和論 日本国憲法は、9条において、国権の発動たる戦争の放棄、戦力の不保持をうたっているが、武器の全廃論をすでに300年まえに、安藤昌益によって唱えられている。日…

憲法九条を提案した幣原喜十郎戦後初代首相

憲法九条を提案した幣原喜十郎戦後初代首相 (1)戦前と戦後の平和外交継承としての幣原喜重郎 第二次世界大戦の敗戦により、戦後の初代の総理大臣に1945年10月に就任したのが、幣原喜重郎であった。当時、貴族院議員で、昭和6年の外務大臣辞任から政界の第…

ロールズから公正としての正義論

財産私有型民主制・民主社会主義の展望を ロールズの「正義論」から ロールズは、公正・公共による自由と平等を正義論から明らかにしました。そして、公正なる知性としての近代民主主義の憲法事項遵守、格差社会是正の政治哲学を探求しました。 公正なる知性…

マルクスから学ぶ社会的自由論

マルクスから学ぶ社会的自由論 神田 嘉延 はじめに マルクスは、150年まえの産業革命の発展のなかで、資本主義的大工業の矛盾の本質を経済学の探究から明らかにしたのです。また、その実践的変革を表した社会思想家でした。マルクスは資本主義的な矛盾の解放…

人間の安全保障と貧困者の潜在能力開発及び多文化共生

人間の安全保障と貧困者の潜在能力開発及び多文化共生 神田 嘉延 世界的に蔓延する新型ウイルスの感染症のなかで、人間の安全保障をみつめることが極めて大切になっている。 それは、大国の覇権主義、一国のナショナリズムではなく、国際協調主義である。新…

マルクスから学ぶ社会教育・生涯学習論ー自由と民主主義を求めて

・自由とマルクスから学ぶ社会教育・生涯学習論ー自由と民主主義を求めて 神田 嘉延 問題の所在 社会教育・生涯学習は、公民館、博物館、図書館などの社会教育施設の実施する教育活動の役割が大きな意味をもっていることはいうまでもない。しかし、それらの…