社会教育評論

人間の尊厳、自由、民主的社会主義と共生・循環性を求める社会教育評論です。

ロールズから公正としての正義論

財産私有型民主制・民主社会主義の展望を ロールズの「正義論」から ロールズは、公正・公共による自由と平等を正義論から明らかにしました。そして、公正なる知性としての近代民主主義の憲法事項遵守、格差社会是正の政治哲学を探求しました。 公正なる知性…

マルクスから学ぶ社会的自由論

マルクスから学ぶ社会的自由論 神田 嘉延 はじめに マルクスは、150年まえの産業革命の発展のなかで、資本主義的大工業の矛盾の本質を経済学の探究から明らかにしたのです。また、その実践的変革を表した社会思想家でした。マルクスは資本主義的な矛盾の解放…

人間の安全保障と貧困者の潜在能力開発及び多文化共生

人間の安全保障と貧困者の潜在能力開発及び多文化共生 神田 嘉延 世界的に蔓延する新型ウイルスの感染症のなかで、人間の安全保障をみつめることが極めて大切になっている。 それは、大国の覇権主義、一国のナショナリズムではなく、国際協調主義である。新…

マルクスから学ぶ社会教育・生涯学習論ー自由と民主主義を求めて

・自由とマルクスから学ぶ社会教育・生涯学習論ー自由と民主主義を求めて 神田 嘉延 問題の所在 社会教育・生涯学習は、公民館、博物館、図書館などの社会教育施設の実施する教育活動の役割が大きな意味をもっていることはいうまでもない。しかし、それらの…

福祉国家と生涯学習-アンデルセンから学ぶ

福祉国家と生涯学習ーアンデルセンから学ぶー アンデルセンは知識集約の経済における21世紀の福祉国家の可能性として、ライフサイクルに対応してのチャンスの保証の重要性を指摘するのです。そこでは、固定的な公平感や平等観ではなく、家族構造の変化、高…

ラスキの「近代国家における自由」から教育を争点に

ファシズムと戦ったラスキの自由論 ラスキは自由論を糧にファシズムと戦った思想家、政治家でした。また、ロシアをはじめとする全体主義的な国家社会主義についても厳しく批判したのでした。そこでは、多元主義を重視して、寛容の弁護、理性での権力弁護とし…

自由への社会教育:カール・ポランニーの社会的自由論から

自由への社会教育:カール・ポランニーの社会的自由論から 問題の所在ー人間・自由・教育ー 新型コロナのなかで、自由ということを人間関係のなかで、みることがあらためて問われています。人は一人で生きているのではなく、社会的関係のなかでの生活が一層…

アレントの公的自由論と市民による統治参加

アレントの公的自由論と市民による統治参加 はじめに アレントは、公的自由論を展開する政治思想家です。フランス革命は、自由の創設としたが、人間の抑圧からの解放すらできず、豊かさのが革命の目的となったとするのです。そして、人間の活動の領域は、私…

地方創生方針とSTEAM教育の危うさ

神田 嘉延 STEAM教育とは、科学(Science)技術(Technology)工学(Engineering) アート(Art)数学(Mathematics)の頭文字をとった造語です。 科学がITやAIなどの高度な自然科学の特定の分野に集中して、科学全般に射程をいれているかどうか大きな問題です。…

群衆心理と社会教育ー民主主義の危機のなかでー

群衆心理と社会教育 神田 嘉延 はじめに ー現代の群衆心理の怖さと民主主義ー 今、世界は新型コロナのなかで、見えない感染症の恐怖にさらされています。この対処の出発は、科学的な根拠からです。人間のもつ理性的判断が鋭くとわれているのです。しかし、不…

共生・協同の社会形成と社会教育ーマンハイムの「自由・権力・民主的計画」から学ぶ

神田嘉延 現代日本で、マンハイムの「自由・権力・民主計画」から学ぶ意味 現代日本は、新自由主義の弱肉強食的資本主義競争と大衆化のなかで、利己的に人々が追いやられた。エリート層のモラル退廃がはびこり、差別や貧困なども深刻になっています。このな…

コロナ状況での新たな共生社会と地域自然循環の模索

コロナ状況での新たな共生社会と地域自然循環の模索 神田 嘉延 新型コロナのなかで、世界はパニック状況になっていると思います。また、新型コロナで莫大な利益をあげているグローバルなインターネット資本の存在も無視できません。国際的な税金の仕組みも問…

霧島古道と天孫古跡と霧島六所権現

霧島古道と天孫古跡と霧島六所権現 神田 嘉延 現代に生きる人々にとって自然循環的に持続可能性の社会経済形成、絆や心と体の健康づくりは極めて大切です。この意味で環境学習や健康学習は人類にとって大きな課題です。霧島六所権現はそのヒントを多く与える…

霧島神宮隣接の80メガソーラー発電の急傾斜地大規模造成問題

霧島神宮隣接の80メガソーラー発電の急傾斜地大規模造成問題 霧島市田口・大窪地区メガソーラー発電所発電事業は、災害発生の危険性、歴史文化の破壊 自然景観の破壊、観光などの地域経済の打撃ということが想定されます。 この開発は、霧島神宮隣接の急傾…

霧島山麓の歴史文化からSDGsを

霧島山麓の歴史文化からSDGsを 神田 嘉延 地域の歴史文化からSDGsをみる意義 2015年に国連は、持続可能な開発目標(SDGs)を採択した。この国連の採択によって、各国政府、地方自治体、企業、非政府組織、教育機関などが、17の持続可能な開発目標にとりく…

水と平和

水と平和 鹿児島大学名誉教授 神田 嘉延 (1) 水と紛争 異常気象によって、日本は水害に会う機会が増える今日です。現代は、干ばつと水害が世界各地で起きています。日本で暮らす人々にとって、地球上は、水が豊富にあるように思われがちです。しかし、地…

ベトナム初ナムディン農業高校開設の期待

ナムディン農学校に期待 鹿児島大学名誉教授 神田 嘉延 ナムディン省は農業訓練研修センターを改革して、農業高校を開設することになりました。この改革はナムディン省内にある職業教育・訓練機関を一つにして総合的な職業専門教育の学校にする一歩でもあり…

現代における寺子屋と夜間中学 ー地域民主教育全国交流集会に参加してー

現代における寺子屋と夜間中学ー地域民主教育全国交流集会に参加してー 地域民主教育全国交流集会が千葉の柏で11月2日から4日にありました。スローガンは「パタン化から自由と創造の教育へ」、「異世代交流・共同で地域づくりを」ということでした。 地域民…

厚生労働省の社会的養育ビジョンの疑問

厚生労働省が新しい社会的養育ビジョンとして、7年以内に里親委託率75%の目標、未就学児の施設の原則的停止として、日本が伝統的に築いてきた社会的養護施設の役割を大きく縮小している施策を出していることを宮崎県の木城町にある石井十次記念友愛園に訪…

社会教育と大学の役割ー社会教育学会研究大会の報告を聞いて

2019年度の社会教育学会の開催校企画として社会教育と大学の役割のシンポジウムが行われた。報告者は5名であった。社会教育士という新しい資格付与をめぐっての議論、大学と地域との関わり、学生教育における教育現場との関係の実践力などが報告の論点であっ…

高齢社会と社会教育ー社会教育学会のプロジェクト研究の報告感想

日本社会教育学会のプロジェク研究「高齢社会と社会教育」の報告に参加した感想を書きます。報告は3本であった。 最初はよく理解できなかった。超高齢社会における高齢者の学びという題で、高齢者の社会参加から主体を問い直すとう牧野篤会員の報告からはじ…

社会教育法70年と社会教育研究の課題ー社会教育学会特別企画を聞いて

社会教育学会は特別企画として、社会教育法70年と社会教育研究の課題のシンポジュムを第66回研究大会で行いました。報告者は、3名で3名のコメンターと、会場からの自由な質疑応答が行われました。 社会教育法制研究の課題として、人口減少のなかで、地…

地域農業後継者教育と社会教育の課題ー鹿児島市曽於市からの地域活性化

地域農業後継者教育と社会教育の課題ー鹿児島県曽於市から 鹿児島大学名誉教授 神田 嘉延 問題の所在 多くの農村は人口減少と高齢化によって、過疎化に悩んでいます。そこでは、限界集落、廃村という厳しい局面にたたされています。その過疎化の根本に、地域…

石井十次の福祉での教育理念― 宮崎県茶臼原と岡山の孤児院から学ぶ

石井十次は、宮崎県の高鍋が生んだ児童福祉の父といわれます。彼は、ルソーのエミールの思想の影響のもとに、児童福祉を積極的に教育の理念を取り入れて活動をしました。 石井十次記念友愛社は、宮崎県西都市木城町にあります。高鍋の市街地から茶臼原小学校…

第2の近代・個人化と青少年の孤立からの解放―南九州大学教授 澁澤透先生の最終講義を中心としてー

第2の近代・個人化と青少年の孤立からの解放 ―南九州大学教授 澁澤透先生の最終講義を中心としてー 神田 嘉延 澁澤先生は30年間にわたって南九州学園で社会科学的視点から教育学を担当してきました。近代的な主体形成の社会的認識力をどう育っていくのか。…

佐賀藩弘道館の教育 ー現代に問いかけるものはなにかー

佐賀藩校の弘道館と明治維新の7賢人 ー現代に問いかける教育の力とはなにかー 神田 嘉延 佐賀藩では明治維新に活躍した7賢人がいわれます。明治維新のなぞを考えていくうえで、江藤新平や島義勇等が率いた佐賀の乱がなぜ起きたのか。佐賀の征韓論、憂国の党…

森の循環と共生への社会教育

山神の祠 霧島山麓の高千穂リゾートV街区から吉之元集落にある森林組合の原生林の尾根にあるものです。 森の 循環 と共生への社会教育 現代社会は、大量生産と大量消費で、弱肉強食の競争社会により、格差の拡大が進んでいます。人々の生活様式もゆがみが…

公民館・コミュニティセンター職員の専門性と養成・研修―社会教育士の創設を見すえてー

公民館・コミュニティセンター職員の専門性と養成・研修―社会教育士の創設を見すえてー 2019年6月29日から30日日本社会教育学会九州・沖縄地区集会 文部科学省は、平成30年9月に社会教育主事の省令改正を2020年4月1日施行の通達で、社会教…

日本語教育推進法と社会教育

日本語教育推進法と社会教育 神田 嘉延 日本語のできない問題状況を直視しての外国人の教育を充実 2019年6月21日に日本語教育推進法が国会を通過しました。この法律は、日本に居住する外国人が日常生活や社会生活を円滑に営むことができるように、国と自治体…

一橋大編「渋沢栄一と人づくり」を読んで

稲盛和夫の仕事入門 (稲盛アカデミー選書) 作者: 神田嘉延 出版社/メーカー: プレジデント社 発売日: 2014/05/20 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 一橋大編「渋沢栄一と人づくり」を読んで 神田 嘉延 一橋大日本企業研究センタ…